- 円安が株価に影響するのはなぜ?
- 円安で業績が伸びる企業は?
- 円安で得するにはどうすればいい?
急速な円安が進み、このような疑問を持っていませんか?
2022年4月28日、東京外国為替市場では約20年ぶりに1ドル=130円を突破しました。円安が進む背景には、日本と米国の金利差の拡大が挙げられます。お金は金利の高い国へ流れていきますが、日本は金利を引き上げられる体力がなく、今後も差は広がり続けると予想されています。
そんな円安は、良くも悪くも株価に影響を与える大きな要因になるため、投資するうえで持っておくべき知識です。しかし、円安と株価の関係がよくわかっていない方も多いかと思います。
そこで今回は、円安のときに注目すべき「輸出入企業」と、判断基準として重要な「ドル建て」を解説します。
Contents
円安が株価に好影響を与えるのは「輸出企業」に多い
円安は「輸出企業」の株価に好影響を与えます。海外に商品を輸出している企業は、為替レートの変動で売上が増え、業績が上がるためです。
たとえば、輸出企業の自動車メーカーの場合を見てみましょう。現在の為替レートは1ドル100円だと想定します。
例:米国で3万ドルの車を輸出
1ドル120円(円安)・・・360万円の売上
1ドル100円(現在)・・・300万円の売上
1ドル90円(円高)・・・270万円の売上
同じ商品を同じ価格で販売していても、3万ドルを日本円に換算してみると、受け取る円の量が増えています。
したがって、海外で輸出販売をしている企業は、円安の影響で株価が上がりやすくなるのです。
円安が株価に悪影響を受けるのは「輸入企業」に多い
円安は「輸入企業」に株価に悪影響を与えます。海外から商品を輸入している企業は、為替レートで仕入れコストが増え、収益が減って業績が下がるためです。
たとえば、輸入企業の食品メーカーの場合を見てみましょう。現在の為替レートは1ドル100円だと想定します。
例:米国で3万ドルの食品を輸入
1ドル120円(円安)・・・360万円のコスト
1ドル100円(現在)・・・300万円のコスト
1ドル90円(円高)・・・270万円のコスト
同じ商品を同じ価格で購入していても、3万ドルを日本円に換算すると、支払う円の量が増えているのがわかります。
したがって、海外から輸入した商品を販売する企業は、円安の影響で株価が下がりやすくなるのです。
円安の影響が株価に反映されない場合がある
円安は株価に影響を与える要因の1つになりますが、必ずしも反映されるわけではありません。世界情勢も複雑に絡んでいるからです。
2022年現在だと、ロシアのウクライナ侵攻や、新型コロナウイルスの流行など。それによって以下のような現象も起こりうるのです。
- 消費者の購買意欲が低い
- 原料価格の上昇
それぞれ詳しく説明します。
消費者の購買意欲が低い
円安が有利な企業であっても、消費者の購買意欲が低いと株価に反映されない場合があります。
購買意欲の低下は、企業の売上に直結し、株価にも悪影響が出るためです。購買意欲が低下する要因の1つは、物価の上昇です。さまざまな世界情勢によって、原料価格が高騰するなどの影響で起こります。
2022年4月時点では、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、原油、小麦などの価格が一段と高騰しています。このような状況下では、顧客は生活資金が圧迫されて購買意欲が低下し、円安が株価に反映されない場合もあります。
「円安だから必ず株価が上がる」と思い込まないよう注意しましょう。
原料価格の上昇
原料価格の上昇は、購買意欲の低下を引き起こすだけではありません。企業にとって原料価格の上昇は、仕入れコストの増加、すなわち利益の減少を表します。
また、商品価格を上げることは消費者の購買意欲の低下にもつながります。このような世界情勢も大きく影響するため、必ずしも円安で株価が上がるとは言い切れません。
円安状況で外国株を見る際はドル建てで判断すべき
「ドル建て」とは、ドル換算で株価を評価すること。対して円換算で評価することを「円建て」といいます。
日本の投資家が「円建て」でS&P500に投資した場合、純粋なS&P500指数の値動きとは異なる投資成果になります。なぜなら「円建て」の場合には、円安などの為替レートの影響が値動きに含まれているためです。
以下の図は、円換算したS&P500指数と、純粋なS&P500指数を比較したものです。
為替レートだけで、これだけの差が生まれています。
したがって、純粋な指数の値動きを見るためには、為替レートの影響を除いた「ドル建て」で判断することが大切です。
円安の株価への影響は世界情勢と企業による!特徴とポイントを押さえておこう
この記事のポイント
- 円安は「輸出入企業」に大きな影響が出る
- 世界情勢により円安が反映されないこともある
- 株価の価値を見るには「ドル建て」で判断する
円安は、輸出企業にとって有利で、輸入企業にとって不利に働くなど、株価に大きな影響を与えます。しかし、世界情勢が株価に与える影響も大きいため、円安だけで投資判断を行うのは危険です。
また日本人が「円建て」で米国株の投資を行う場合、株価には為替レートの変動も含まれています。円安によって順調な値動きに見えている可能性もあるので、為替の影響を除いた「ドル建て」の株価で判断しましょう。
円安と株価の関係について詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。